〜 魔法 〜




 初めて彼女に会ったとき彼女が「精霊使い」だって言う事に気づかなかった。
彼女は全然魔法を使わないし、いつも短剣を武器にしていたから・・・。
でも、知らなかったよ。
君にそんな魔法の素質があるなんて・・・。
 
 それは一瞬の出来事だった!
激しい竜巻とともに敵が消えたのは・・・。
マーロが目を覚ましたとき既に倒れた敵の姿しかなかった。
いったい何が起こったのだろう?
薄れゆく意識の中でマーロがみたものは確かに魔法だった。
しかし、ここにはアルターと魔法が使えないはずのプレディしかいない・・・。
戦闘では一番頼りになるアルターは未だに昏睡状態におちいっている。
(まさか、この敵プレディが倒したのか・・・。けどそんなはずは・・・。)

 マーロがぼうっとしているとプレディが声をかけよってきた。
「マーロ。良かった。気づいたんだね。」
彼女は泣いていたらしい。泥で汚れた顔の中涙の跡がうっすら見える。
「ああ。でもプレディ今のって・・・。まほう?」
「自分でも何があったか覚えてないの。気づいたら敵が倒れていて・・・。」
「そう・・・なんだ。」
マーロは彼女から目をそらした。
気づいたら倒していた・・・。では、彼女は無意識のうちに魔法を使っていたのだろうか?
だとしたらスゴイ・・・。
 マーロは自分の中で何かが生まれるのを感じた。
嫉妬心・・・。そう、今何故か彼はそんな気持ちにとらわれていた。
(今はそれどころじゃないのに・・・。)
いまだアルターは倒れている。
ちょっぴり自己嫌悪に襲われながらマーロはふらふらとアルターの元へ歩いていった。


 アルターは今だ目を覚まさなかった。
全身すごい傷だらけでいかに敵にダメージを受けたのかその傷跡からわかる。
(・・・。こいつさっきの戦いで一番前に出てたからな・・・。)
 

 先程の戦いはすざましいものだった。
いつものように冒険へとやってきたプレディ・アルター・マーロの三人だが
今日に限って調子が悪かった。今まで見た事もない敵が彼らの前にたちはだかっていたのだ。
三人は一生懸命戦ったがちょっと油断したすきに戦闘で一番役に立つアルターが大打撃を受けてしまった。
アルターは倒れ、敵は二人に標的を移してきたのだ。
魔道士系であるマーロ・プレディは接近戦にはとことん弱い。
あっという間に敵側の有利になった。
そんななか、マーロも打撃を受け・・・気づいたときには敵が倒れていたということだった。   
 
(だいじょうぶかな。こいつ。)
 マーロは心配しながらもそっとアルターの脈を測ってみた。
(まだ、生きてる。)
アルターの脈は波打っていた。
マーロは自分が思った以上にホッとしているのを感じた。

「マーロ。アルター大丈夫?今薬草を・・・。」
プレディは道具袋をごそごそやっていたと思ったら冒険前大量に買ってきていた薬草を持ってやってきた。
「薬草なんかいらないよ。魔法で直せば良いじゃないか。」
「え・・・。」
 マーロはそう言ってしまってからはっと気づいた。
結構、キツク言ってしまった。
今、なんていうことをいってしまったんだろう。
 彼女が今まで魔法を使わなかったのは本当に使えなかったからかもしれないのに。
マーロに言われたプレディはなんとなく元気がなくなったようにも見えたし言ってしまった事に
深く反省した。
しかし、プレディは気を持ち直したらしく無理に笑顔を作って見せるとこういった。
「ごめんね。私も魔法が使えればすぐにでも傷を治してあげれるんだけどね・・・。」
そういうと、さっとアルターのほうに向き直り薬草をすり潰しアルターに飲ませた。
プレディは先程の戦闘で魔法を使ったという自覚はないらしい。

 マーロはそう感じるとちょっぴり残念な気もした。今度は先程の嫉妬心とは違う気持ちだ。
「そうじゃない。さっきのは絶対魔法だったよ。プレディ魔法使えるんだよ!」
 マーロはつい大声を出してしまいそのあとなんとなく恥ずかしくなってプレディから目をそらした。
例の彼女は残念そうに首を振った。
「私、魔法使えないの。職業は精霊使いだってラドゥが言うんだけど全然ダメ。何回やってもダメなの。」
 マーロはその言葉を聞くと少し意外な気がした。
(いつも一生懸命自分の呪いを解くためがんばっているプレディがこんな弱気な事を言うなんて。)
けど、何故かこのときプレディなら出来ると思った。
「絶対大丈夫だよ!今、使ったから。いい?オレが今から魔法の使い方を教えるからそのとおりにやってみて。」
 それを聞くとプレディはうなずきマーロの言うとおり魔法を使う体勢をとった。
「いい?魔法っていうのは想いが大事なんだよ。集中しないとダメなんだけどね。慣れればすぐだと思うから
がんばってやってみて。まずはオレがお手本見せるよ。回復系は無理だけど・・・。」
 マーロはお手本ということで「炎の矢」を放って見せた。
 マーロの指先から放たれた炎は草を焼きそして消えた。
「ね。慣れれば簡単。プレディやってみて。」
「うん。」
 プレディはマーロに教えられたとおり「炎の矢」を放って見せた。
ボヒュ!
一瞬だけだが炎が出来た。
「そう!その調子。今はあんまり時間がないからね。今の容量でアルターに回復魔法を使ってみてよ。」
「うん。」
 プレディはそういうとアルターに近寄り祈りの体勢をとって見せた。
アルターはいまだ倒れているものの先程の薬草が効いた様で先程よりも顔色が良くなったようだ。
(神さま。どうか、アルターの傷が治りますように。お願いします・・・。)
プレディは必死に祈り続けた。
 すると、彼女の手の平から暖かな光が発生しその光がアルターを包んだ。

 そして数分。プレディの手から光が消えると先程まで
ひどい怪我をしていたアルターの傷が癒されているのがわかった。
「やった★やったじゃんかプレディ。できたよ。成功だよ!出来たんだよプレディ!」
 しかしプレディの反応はない。
 彼女は魔法をかけた後すっかり魔力を使い果たしてしまったらしく地面に倒れ眠ってしまったようだ。
そのかわりうっすらとではあるがアルターが目を覚ました。
「気分はどうだ?」
「うぅ。意識がぼんやりするが大丈夫だ。けど、俺ら生きていたのか?」
「例だったらプレディに言うんだな。彼女、敵も全滅させてお前の傷も治したんだぜ!」
 マーロは得意げにそういった。
「そうなのか?プレディ魔法でも使ったのか?」
 アルターはだんだん良くなってきた体を起こしマーロに質問した。
「そうだよ!すごいよ。彼女。オレなんかより断然すごい!」
 先程の嫉妬心はどこにいったというのだろう。
今のマーロには彼女が魔法を使ったという事が嬉しくてたまらなかった。
「そうか。ありがとなプレディ。」
アルターはそういって地面に倒れこんだプレディを抱きかかえた。
「あっ!お前なにすんだよ!」
「なにもしねえよ。ただ、プレディをゆっくり休ませてあげようぜ。」
「そうだな。今日は冒険もう止めて帰ろう。」
「ははは。今日は俺のアルタースラッシュが使えないのはちょっと残念だけどな。」
「そんなの見なくていいぜ。オレは。」
「冷てー。」
そんな事をいいながらコロナの街まで歩いて帰った二人。
帰り道は幸い敵の遭遇もなく街に到着する事が出来た。

街についてからはすぐアエリアの病院に駆け寄りプレディを休ませてあげた。
アエリアは二人から事情を聞くと快くプレディの世話を引き受けてくれた。
「そうだったの。強い敵が現れていたのね・・・。」
アエリアはそういい二人の傷の手当てもしてくれた。
「あなたたちも、まだ完全に傷が治ってないのですから無理は禁物ですよ。」
これには二人黙っているしかない。
二人の傷の手当てが終わった。
あとはプレディが目を覚ますのを待つだけだった。
「さあさ、二人とも。今日はあなたたちも家で休んで明日またここに来なさいな。」
アエリアに病院を追い出され、二人はしぶしぶ家に戻る事になった。

 その帰り道。
「前にもこんな事あったよな〜。」
「あれだろ?プレディが始めて冒険に行ったとき・・・。」
 それは彼女がここに来ての初めての冒険のとき。前回も彼女は気を失っていて病院に運ばれた。
「今回は事情が違うけどな。」
「俺たちもまだまだ。もっと俺も強くならなきゃなんねえな。彼女を守れるくらい。」
「は?何言ってんだ?お前は守んなくても良いんだよ。俺が守る。」
 そういって二人はハッとした。
そして、お互い顔を見合わせ・・・。
「ま、お互いがんばらなきゃってことだな。」
 アルターが結論をだした。
(こいつ・・・彼女の事どう思ってんだ?)
 自分が何故彼女に対し俺が守るなんて思ってしまったのか全然気づかないマーロだったが
アルターの言葉の意味がなんとなく分かる気がした・・・。
(けど、あんまり気にしてもしょうがないか。)
 マーロはとりあえず気にしないことに決めた・・・。


 そして、翌朝・・・。
朝早くマーロは病院へお見舞いに行った。
そこには元気になったプレディの姿とアルターの姿があった。
「おはよう。もう気分はいいの?」
「いいぜ。もう大丈夫だ。」
 マーロはプレディに話し掛けたのに何故かアルターから返事が返ってきた。
「お前に聞いてない・・・。」
マーロはポツリとつぶやきプレディのほうへ向き直った。
 そこには昨日とうって変わって今は元気な彼女の姿があった。
「もう大丈夫だよ。でもアルターが元気になってよかった。」
「ああ、プレディのおかげだありがとな。」
「うん。」
 そういって笑った彼女。昨日の戦闘がうその様に感じられる。
そして、マーロはすがすがしい気分とともに何故か彼女の笑顔をずっと見ていたいと思った・・・。

                               おしまい















感想

かえるの絵本同盟100人突破オメデトウゴザイマス〜♪
すごいですね。100人って!
これからももっともっとファンの方が増えると良いなあ。
それと、今回私の小説を読んでくださった方アリガトウございます。
まだまだ文章未熟でスミマセン〜。私の文章ってクドイ!(笑)
今回はマーロを主人公でプレディ(女主人公)・アルターのコンビで書いてみました。
初プレイのときはこの三人でよく冒険に出てましたから。
精霊使いなのに魔法が使えないっていうのも初プレイ時の思い出です。
(私はゲーム後半まで主人公の魔法使ってなかったんです。何故か・・・。)

最後にこちらの企画されました星野銀河様はじめかえほん同盟のみなさま
締め切りすぎてしまったのは私です(汗)
ご迷惑かけてしまい申し訳ないです。ごめんなさい。

では、これからもよろしくお願いしますね♪
                     プクプク

銀河@管理人:
祝いコメント有難う御座います〜(涙)
100人突破だなんて管理人が1番驚きです!
企画への参加も色々お忙しい中大変でしたでしょうにホントに有難い限りですvvv
〆切は・・・プクプクさん結構早かっ・・・げふんげふん!(爆
迷惑掛けてるのは管理人の方ですし・・・はい。すいません、精進しますー(汗

ホントに有難うでした!!